当社の経鼻投与基盤技術は、
独自の粉末製剤技術と
投与デバイス技術からなる
Combination Technologyです
3D Nasal Cast Model
管理用
当社は、Pastorus社(Pastorus Pharma, LLC.;米国ワイオミング州)との間で、自閉症スペクトラム(Autism Spectrum Disorder, 以下「ASD」という。)*1 の治療を目指したオキシトシン経鼻剤の開発・販売等に関するライセンス契約を締結いたしましたので、お知らせいたします。
今回のライセンス契約締結に伴い、当社は、Pastorus社より契約一時金および本剤の開発進捗に応じたマイルストーンに加えて、上市後は本剤の売上に応じたロイヤリティを受け取る権利を有します。また、当社は、本剤の承認申請に必要な前臨床試験および臨床試験の一部を受託する予定です。
オキシトシン(Oxytocin)は、下垂体から分泌されるホルモンで子宮を収縮させるなど、末梢組織に対する作用が知られており、産婦人科領域の医薬品として長年にわたり使用されてきました。一方、近年の研究でオキシトシンが神経伝達物質の放出調節、シナプス構築の調節や社会的認知*2に関与する特定の脳領域の活性化など、中枢神経に対する作用も特定され、最近の臨床研究の結果から、オキシトシンがASD患者の社会的認知の能力を高めることがわかってきました(E. Andari et al, PNAS, 2010)。Pastorus社は、この新たな作用に着目し、ASDの治療を目的としたオキシトシン薬剤の開発を進めている中、痛みが伴わずに高い安全性と有効性が期待できる当社の経鼻投与技術(μco™ system;ミューコ システム*3)の採用を決定したものであります。
米国疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention)は、米国におけるASDを持つ子供の数は、小児110人に1人の割合(約280万人)にも及ぶと報告しています(ADDM Community Report 2009)。さらに、同報告では、ASDの患者1人あたりに対して、健常人より年間4,110-6,200米ドルの追加医療支出があると記載されています。しかしながら、現段階では、ASDに対して有効な治療薬はありません。当社は、本オキシトシン経鼻剤が障害を持つ患者とそのご家族の方々に福音となることを切望しております。
なお、本件が当社グループの今期の業績に及ぼす影響は現段階では軽微でありますが、今後、業績に及ぼす影響が見込まれた場合、別途お知らせいたします。
【備考】
*1 自閉症はその症例が多彩であり、境界が曖昧であるために多様性を表す概念としてAutism Spectrum Disorderと呼ばれており、広汎性の脳発達障害を1つの要素として捉えた脳機能障害を意味します。
*2 社会の仕組みやルールを理解すること、その中で自己と他者の関係、他者の心理や行動を理解することを指します。子どもは、様々な人と接する中で自ら学習し、社会的認知を拡げ、社会で円滑に生活していくのに必要な価値・行動基準を身に付けていきます。
*3 ミューコ システム; 当社が独自に開発した経鼻投与技術で、鼻の粘膜から粉末の薬剤を安全に効率よく吸収させる製剤技術と小型で携帯・操作が容易なデバイス技術から成るシステムです。種々の薬物にも応用可能で汎用性のある経鼻投与技術として高く評価されています。
以 上